利用者・家族・事業者で語る 定期巡回のリアルなホンネ。
ケアについて

アウケアホームが提供する介護サービス「定期巡回」。木村さんは、その定期巡回での介護を受けるご利用者の一人だ。今回は木村さんの介護の計画作成などを行っているはなまる介護の鹿股さん、木村さんのご親族である宮崎さん、そして木村さんご本人に定期巡回を利用してみての実感を語って頂いた。
MEMBER
鹿股さん
(はなまる介護 主任介護支援専門員)木村さんの介護支援専門員。定期巡回サービスを勧めた人物。
宮崎さん
木村さんのご家族(キーパーソン)。月2回、木村さんの元を訪ね、手続きや身の回りの対応を行っている。
木村さん
はなまる介護にて半日型のデイサービスを利用していたが、入院をきっかけにアウケアホームの定期巡回サービスを利用している。
定期巡回に出会うきっかけ
木村さんが定期巡回のサービスを利用することになったきっかけを教えてください。
はなまる介護として、アウケアホームに定期巡回をお願いするようになってからは約2年が経ちます。アウケアホームを開設した時からのお付き合いですね。元々木村さんは、半日型のデイサービスに通いつつ、はなまる介護で訪問介護のサービスを利用されていましたが、ある時急に動けなくなってしまったんです。それをうちの訪問介護士が発見して、木村さんは病院に入院することになり、それまで要支援だった区分にも変更をかけなければいけないということになって…。
突然、退院後の介護の方法を考えなければいけなくなった?
そうなんです。訪問介護で1日に数回訪問するのは予算的に難しく、サービスの変更を検討することになったのですが、木村さんご自身は「施設ではなく家にいたい」という意向がありました。ちょうどその頃、アウケアホームの運営会社の代表である千田さんがはなまる介護によく来てくれていて、定期巡回の事業についても伺っていたので、「そういった方法もある」ということを私の方から勧めさせて頂いたという経緯です。なので、本当にご縁で今まで繋がっているという感じですね。
定期巡回を勧めるとき、ご家族にはどのようにお話をされたんですか?
まずは費用面のお話ですね。退院後の介護を検討する際、木村さんに必要な支援や回数を算出した時に、例えばヘルパーが一日3回入るような訪問介護だと一回30分でも介護保険の支給限度額に納まらなくなってしまうということをお話させて頂きました。定期巡回であれば支給限度額内でお金も収まりますし、支援の内容的にも10分でも30分でも臨機応変に訪問対応してくれて、夜間や緊急でコールで呼んだり、相談もできるような体制があるので、寝たきり状態だった木村さんにとってもご家族にとっても安心して利用できるサービスではないかと、提案させて頂きました。
定期巡回のお話を聞いたときはどのような印象でしたか?
伯母(木村さん)も「ずっと家に居たい」と言っていたので、定期巡回というサービスは、伯母にぴったりだなと思いました。私自身、姑が介護保険でデイサービスやショートステイを利用していた時期があり、もちろん十分にケアはして頂いていましたが、そこまで頻繁にヘルパーさんが来るようなイメージはなかったので、鹿股さんが定期巡回を紹介してくださったときに、1日3回+αで訪問してくれるサービスがあるんだと驚きました。こんなにこまめにケアしてくれるのはすごいなと思って、「じゃあやってみよう」と決めました。
利用してみて感じた定期巡回の魅力
実際に定期巡回のサービスを利用してみて、どんなところに魅力を感じましたか?
自分では何もできない伯母にとって人の手というのは絶対に必要ですが、私も普段は離れて暮らしているので頻繁に伯母の元に行けるわけではありません。そんな中で定期巡回の職員さんが朝昼晩、一日3回+夜中でも何かあったときに呼べば来てくれて、家族に替わって食事の用意や洗濯をしてくださるのは本当にありがたいです。それから伯母の普段の様子もPORTALL※があるおかげで、その日に誰が来て、どんなケアをしてというのが事細かにわかるのもすごいです。「今日6時~9時の間に〇〇さんという方が来てくれて、ゴミを出してくれて、薬を塗ってくれて、何をどのくらい食べて…」と伯母の様子がわかるので、安心感につながっています。本当に手厚くケアをして頂いているなと感じますね。 (※PORTALL:スリーエス株式会社で開発活用している、情報共有などができるアプリ。当日行ったケア内容などを家族やケアマネに共有できる)
一番は木村さんの望む生活が送れるという点。施設ではなくて家で、長年過ごしてきた環境で継続して暮らせることが魅力だと思います。それからこれは利用者さんのご状況にもよりますが、定期巡回であれば利用後も他の気に入ったデイサービスやショートステイ先を選ぶことも可能ですよね。ご自身に合ったサービスを選んでつなげていくことができるのも定期巡回ならではだと思います。
伯母の自宅には定期巡回の他に、週2回マッサージの人も来て頂いています。去年伯母が夏に脱水症状を起こして入院したことがあるんですけど、マッサージの方が伯母の喋り方がおかしいと気づいてあちこちに連絡してくれて。結局軽い脱水症状からの脳梗塞だったんですけれども、初期の段階で見つけてくれたので何とか軽い状態で済みました。そのときはたまたまマッサージの方でしたが、定期巡回の職員さん方も毎日来てくれるので、何かあったときはすぐ見つけてくれるという安心感はありますよね。

定期巡回は、ケアマネジャーの鹿股さんと、定期巡回の事業者であるアウケアホームが共同でケアを考え、実践していく「共同ケアマネジメント」も特徴です。ともに支援を行う事業者としては、どんな魅力を感じますか?
現場目線で言うと、定期巡回にはオペレーターさんがいらっしゃるので、一度ケアプランを組んでしまえば、看護師さんと連携してくれたり、主治医の訪問診療の先生と連携してくれたり…と臨機応変に対応してくださるので、安心しておまかせできるという点がメリットかなと感じます。従来の訪問介護では些細な確認や調整があっても、ケアマネジャーに一度確認やお伺いを立ててからという形が多い中で、現場の方々が柔軟に直接やりとりを行ってくれるという面では私としてもとても助かっています。
アウケアホームの職員さんの印象について
利用者ご本人である木村さんにも介護についてお聞きします。定期巡回に来てくれるアウケアホームの職員さんはどんな方が多いですか?
皆優しい人ばかり。年寄りの世話なんて大変なのに嫌な顔しないで、ニコニコ笑いながらやってくれるんだから、こんないいことないわよ。こっちが言わなくてもね、向こうの方から察してくれてやってくれるから本当に楽よ。雨が降っても風が吹いても「その日は来ません」ってことがないから、本当にありがたいです。だから私も、朝寒い日は少し早めに起きて、部屋を暖房して、その人達のためにお部屋を暖めてあげているの。そのくらいしかお返しできないからね。
それは素敵なエピソードですね。宮崎さん、鹿股さんから見ていて印象はいかがですか?
今は最初の頃より職員さんも増えて、毎回違う方が訪問に来ることもありますが、伯母の言う通り皆さん優しくて丁寧な方が多いです。とにかく伯母に話しかけてくれるんですよね。伯母も話好きなので、職員さんとの「会話が楽しい」と言っています。
やっぱり木村さんの要望というか、木村さんの好きなものは何かをお話の中から見つけて、それを買ってきてくれたり…。そういう意味でも優しい方が多いのかなと思います。
確かに伯母とすごくコミュニケーションをとってくださっていますよね。食事の用意も、伯母が好きなマグロや鰻をちょこっと出してくださったり…。伯母にとっては食べることが好きだし、楽しみなんですよね。そういう風に伯母のニーズを汲み取ってくれているのは感じますね。おかげさまで訪問診療の先生からも「木村さんは元気だし、口から食べられているから大丈夫」って言ってもらえました(笑)。
利用していく中で、木村さんご自身にも変化があった?
今までは、時折ふと「早くお迎えが来てくれないかな」なんて言うこともあったんです。でも今は「生きているのが楽しくなった」って、本人は言ってくれています。例えば1日に1回しか職員さん来てくれない状況だとしたら、それ以外の二十何時間は家に一人で何もしゃべらないということになりますけど、今は一日に最低3回は誰かと会話できる機会があるということが、本人にとってもいいんじゃないかなと思います。しゃべることって脳の活性化にもつながるし、一対一で手厚くコミュニケーションをとってもらえるので、伯母は施設にいる以上のことをやってもらっているんじゃないかなって思いますね。
私からしたらみんな孫のような存在だからね。来なかったら心配になるけど、少しでも顔見せてくれれば元気でやっているんだって嬉しくなるのよ。皆さんがいるおかげで今は毎日楽しいですよ。贅沢だって思っちゃうくらい。

定期巡回は在宅を望む高齢者の希望となるサービス
介護業界全体で見ると、定期巡回はまだまだ知られていないサービスですが、どのような方にこのサービスをお勧めしたいですか?
独り身のご老人は沢山いますし、今後も増えてくると思います。例えば自分である程度身の回りのことはできるけども、食事の用意ができないとか買い物ができないというぐらいなら、プラスのサービスを受ければいいけど、伯母のように自分で何もできない状況の人には定期巡回は魅力的だと思います。あとは私みたいに家族がどうしても離れていて、遠距離での介護を行っている方。高齢の親が一人という状況で、誰かがこまめに来てくれる定期巡回があれば、家族はとても安心しますよね。
本当にその通りだと思いますね。一度頼んでおけば、柔軟にサービスを受けられるので安心感がすごくあるんじゃないかな。あとは日中独居でご家族が働いていて、排せつ・食事みたいな支援が必要な方のニーズにも応えられると思います。
やっぱり環境が変わるっていうのは、介護される高齢者にとってもストレスだと思うんです。伯母が入院したときも「したくない」と自分の家から離れたくないという気持ちが強く、家族からするとその気持ちを押して施設ってわけにもいかないし…。本人とその家族の状況を考えると、本当に定期巡回があることで助かりますし、希望になるサービスですよね。
「定期巡回は木村さんにとってぴったりのサービス」だと語る鹿股さん、宮崎さん、そしてそれを裏付けるようにアウケアホームの職員さんへの想いを話す木村さんの柔らかな表情が印象的だった。 定期巡回は、利用者にも介護職にもまだまだ認知されていない新しいサービスだ。「住み慣れた自宅で過ごしたい」というニーズが沢山ある中で、「知られていない」ことでその判断を諦めてしまう人がいるのも実情だ。 「自分らしく、最期まで自宅で」そう願う高齢者やその家族が、自分の意思で生活を選択できる。そんな社会を目指し、スリーエス株式会社は定期巡回の事業を展開している。 定期巡回という新しい介護のかたちが今よりもっと世の中に浸透していくことで、支えられる人、そしてそれを支える人にとっても多くの希望をもたらしてくれるに違いない。そう感じた座談会だった。